第58話
ふるさとの崖の上に立つソルラン。
万感の思いを込めて「父さん、母さん、ソルランよ」と叫ぶ。
泣きながら叫ぶその声は耳の聞こえない父には届かない。
でも、クチョンの背中におぶわれている男の子にはしっかり届いていた。
おおお。
2人はすぐ近くにいる!
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合意書をキムンへ届けにきたへ佐平とヨン達率たち。
自分の下した選択を間違っていないかとコヨンに聞くスニムン。
コヨンは「キムンを失ったのではなく得たのです」と答える。
もはや百済とキムンは1つになるばかり、のはずだったが、ヘ佐平たちの元へ向かう途中、妙な落書きを目にし、スニムンは考えを急変させる。
落書き。
それは「百の狐が国を買う」という言葉だった。
「百済の狐がキムンを買ったということか?」とスニムンの顔が一気に曇る。
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ピムンたちはうまくキムンに入り込み、怪しまれないようそれぞれに問題を起こし、追放される形でキムンを去っていた。
が、疑り深いスニムンはそんなことで納得しない。
当然ソルランのことも怪しみ、生まれ故郷へ行ったカヒを連れ戻せと指示を出す。
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そのころソルランはふるさとで驚くべき人を目の前にしていた。
そう、死んだとばかり思っていた父。
呆然と立ち尽くし、自分を見つめている娘に気づき、駆け寄り抱きしめる父。
父が生きていたことにソルランは嬉し涙が止まらない。
2人は喜びを溢れさせながら抱きしめ合った。
が、そこへスニムンの手下たちがソルランを連れ戻しにやってくる。
クチョンはソルランを守ろうと、その男たちと戦い、脇腹を切られてしまう。
スニムンの元へ戻る前に父のケガを手当てする時間をもらうソルラン。
裸になった父の体には思わず目を背けたくなるほど無数の傷跡が。
あまりにも痛々しい体にショックを受け、涙を流すソルラン。
薬を飲み眠る父に「目覚める前に戻る」と誓い、スニムンの元へ向かう。
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スニムンの気持ちが急変し、合意を拒んだため、いったん百済に戻ってきたへ佐平とヨン達率。
密偵のことが露見したことが原因だと言う。
ソルランの正体がスニムンにバレたことが王様やミョンノン、トリムたちにも知らされる。
いても立ってもいられないミョンノンは自らキムンへ行くことにする。
もはやキムンとの同盟よりソルランの命のことしか頭にないほど冷静さを失うミョンノンに、トリムが言う。
太子様が行くということは、密偵を認めたも同然。
だから、行ってはならないと。
それでも、キムンへ向かうことを選んだミョンノン。
「太子様はキムンとソルラン、どちらを得ようと?ソルランを助けるならば、スニムンにひざまずき、キムンを欲するなら、スニムンを脅すのです」と言うトリム。
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スニムンの元へ戻ってきたソルラン。
王は激怒し、刀をソルランに向けて「おまえを妹のように思っていたのに。おまえなど殺してやる」と怒鳴る。
ソルランは訴える。
「名前以外はウソを申しておりません。信じてください。ウソならキムンの美しさは語れません」と。
19歳まで育ったこの村で盗賊に襲われ、家族を失い、百済へと流れ着いたこと。
そこで太子様に拾われたこと。
その恩に報うためキムンへ来たこと。
ソルランは強い意志で切々とスニムンに訴え続ける。
太子様は、キムンと1つになれば、飢えをなくし、盗賊を退治できると言った。
「私はキムンを救うために参ったのです」
その言葉に笑い出すスニムン。
そして、刀を再びソルランに向け「何を言うのだ?おまえは太子の命令で来たのだ」とさらに激しく怒鳴る。
「私は殺されても構いません。死にます。ですが、王様。キムンと百済の和平は私の企みではありません。王様のご意思です」
「なんだと?」
「私は王様の心をのぞきました。そこには民を慈しむ気持ちがありました。だから、王様を民の前にお連れしたのです。私はただ王様の心をのぞいただけ。もう一度お考えください。百済がキムンを救えるかどうか。もう一度だけお考えください」
そう涙ながらに必死で訴えるソルラン。
そこへミョンノンが到着する。
ソルランは「お会いください。太子様に任せられるか見定めた上でご判断ください」と懇願する。
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ミョンノンに会うスニムン。
ミョンノンは今、キムンが百済と手を組まなければ、高句麗や他国から侵略されると言う。
百済と手を組めば、百済は高句麗と戦をし、キムンの民を矢面に立たせるはずだと言うスニムン。
高句麗ならそうするでしょう。
でも、百済はそうしないと言うミョンノン。
5年間でキムンにいる盗賊を半分に減らし、10年以内にさすらう民に家を与えると言う。
名品の玉を百済の船で斉から倭、扶南まで行き、高額で売る。
その金でキムンの民を救うのだと、実現させるための具体的な方法も示すミョンノン。
スニムンは、では百済は何を得るのかと問う。
「さらに強く、偉大な百済」だと答えるミョンノン。
「雲をつかむような話だ」笑い飛ばすスニムンにミョンノンはひざまずく。
「ソルランを助けてください」と。
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一国の太子が民1人を救うためにひざまずいた。
そのことに驚き、あれが王の器だと感服したスニムン。
ソルランに「おまえが正しい。太子は余より王にふさわしい」と言って、合意書に印を押すことを決めた。
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ソルランを太子と一緒に百済へ戻るようにと促すスニムン。
兄のような優しい顔のスニムンに感謝の気持ちでいっぱいのソルラン。
ソルランをその胸に抱き幸せを噛みしめるミョンノン。
ソルランをキムンへ送って以来、安心して眠れたことがないと言う。
ソルランに腕枕をしながら眠るミョンノン。
だが、目を覚ましたときにソルランの姿はなかった。
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ソルランは父の元へ戻っていた。
父も目を覚ます。
父はソルランを連れて行った男たちが誰なのかと紙に書くが、ソルランは「そのうち少しずつ話すわね」と答える。
そして、「父さんも少しずつ教えてね。どうやって刀の傷に耐え、生き延びたのか。どこを探し歩いたのか。この子と会った経緯も」と言う。
もう絶対に離れないと父に抱きつくソルラン。
男の子も負けじと抱きつく。
かわいい♡
3人で一緒に暮らそうと言うソルランに父は「ソルヒを連れ戻さないと」と書く。
その言葉に父がソルヒのことを知っているのだと理解するソルランだった。
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合意書を王様の元へ届けるミョンノン。
「太子がキムンの民を救ったな」と大喜びの武寧王。
作戦が失敗に終わったスベクヒャンはヨン達率の言葉を思い出し、チンム公は不敵な笑みを浮かべていた。
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とりあえず、一件落着です。
偽王女事件のときのような大惨事にならず良かった良かった。
でも、チンム公とスベクヒャンがこのまま引き下がるはずなどないので、太子引き下ろし作戦はこれから本格的になっていくのでしょう。
一難去ってまた一難。
ソルランにどんな災難が降りかかるのかとても心配です。
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